SHARE:

タトゥー隠しをより自然に見せるメイク下地の選び方3選|プロは「塗る前」に勝負を決める

タトゥー隠しをより自然に見せるメイク下地の選び方3選|プロは「塗る前」に勝負を決める

「コンシーラーを何度重ねても、なんだか青黒く透けて見えてしまう…」 「厚塗りしすぎて、時間が経つとタトゥーの筋彫りの形にひび割れてくる」

タトゥーをメイクで隠そうとした時、誰もがぶつかる壁がこの「透け」と「凹凸(おうとつ)」の問題です。 どんなにカバー力の高いファンデーションを使っても、なぜか仕上がりが不自然。遠目には隠れているように見えても、近くで見ると「あ、ここに何か塗ってるな」と違和感を持たれてしまう。 その原因は、ファンデーションの性能ではなく、**「下地(ベースメイク)」**にあることがほとんどです。

私自身、初めてタトゥー隠しメイクに挑戦した時、いきなり肌色のファンデーションを塗って大失敗しました。 黒いインクの上に肌色を乗せると、色が混ざって「土気色(グレー)」になり、まるで大きなアザがあるかのように見えてしまったのです。慌ててさらに厚塗りをした結果、肌のキメが完全に消えた能面のような状態になり、動くたびにボロボロと崩れてきてしまいました。

実は、プロのメイクアップアーティストがタトゥーを隠す際、最も時間をかけるのは「ファンデーションを塗る前」の工程です。 タトゥーの濃い色素を打ち消すための「色」、そしてインクによる皮膚の盛り上がりを平らに見せるための「質感」。 この2つをコントロールする優秀な下地さえあれば、上から塗るファンデーションは驚くほど薄付きで済み、結果として「素肌のような自然な仕上がり」が手に入るのです。

この記事では、タトゥー隠しのクオリティを劇的に上げる「メイク下地の選び方」を3つのポイントに絞って解説します。 さらに、今日からすぐに使える具体的なアイテムの例や、崩れないための仕込みテクニックも伝授。 「隠していることがバレない肌」を作るための、最初の一歩を踏み出しましょう。

なぜ「いきなり肌色」は失敗するのか?

具体的な選び方の前に、タトゥー隠しのメカニズムを理解しておきましょう。ここを知っているだけで、アイテム選びの視点が変わります。

1. 「黒」は「肌色」では消せない

絵の具を想像してみてください。黒い絵の具の上に、肌色(薄いオレンジやベージュ)を混ぜるとどうなるでしょうか? 濁ったグレーになりますよね。人間の肌の上でも同じことが起きています。 タトゥーのインク(黒・青)は非常に強い色素なので、肌色で蓋をしようとしても、下から色が透過して濁って見えてしまうのです。これを防ぐには、色彩学に基づいた「色の打ち消し」が必要です。

2. タトゥーには「厚み」がある

触ってみると分かりますが、タトゥーが入っている部分は、インクが入っていない皮膚よりも少し盛り上がっていたり、逆に傷跡のように凹んでいたりします。 この微細な凹凸にファンデーションが溜まると、そこだけ色が濃くなり、タトゥーのデザインが浮き彫りになってしまいます。 下地には、この凹凸を埋めてフラットにする役割も求められるのです。

タトゥー隠しを格上げする!下地の選び方3選

それでは、プロも実践している「失敗しない下地選び」の3つの基準をご紹介します。

1. 【色で選ぶ】「オレンジ・赤」のコントロールカラー

これが最も重要なポイントです。 タトゥーの青黒さを打ち消すことができる唯一の色は、補色(反対色)である**「オレンジ」「赤」**です。

  • 選び方: 一般的な顔用の「くすみ飛ばし下地(薄いピンクやパープル)」では弱すぎます。**「鮮やかなオレンジ」「朱赤」**のコンシーラー、またはコントロールカラーを選んでください。
  • おすすめアイテム:
    • 舞台用ドーラン(三善 グリースペイント 24P): プロ御用達の最強オレンジ。
    • オレンジチーク・赤リップ(マットタイプ): 実は100均のコスメでも代用可能です。ラメが入っていないマットなものを選びましょう。
    • ケイト スキンカラーコントロールベース(オレンジ): ドラッグストアで買える手軽な下地として優秀です。

2. 【質感で選ぶ】「硬め」のスティック・ポットタイプ

下地が柔らかすぎると、上からファンデーションを塗った時に混ざってしまい、色が濁る原因になります。 下地は「塗る」のではなく、肌の上に「定着させる」必要があります。

  • 選び方: リキッドやクリームタイプよりも、テクスチャが**「硬い」**スティックタイプや、指で溶かして使うポット(練り)タイプを選んでください。
  • メリット: 硬い下地は肌の凹凸を埋めるパテのような役割も果たしてくれるため、筋彫りのボコボコ感を目立たなくする効果もあります。
  • おすすめアイテム:
    • 資生堂 スポッツカバー ファウンデイション(H100): カバー力と硬さが絶妙です。
    • キャンメイク カラーミキシングコンシーラー: 安価で硬めの質感なので、下地として優秀です。

3. 【機能で選ぶ】「ポアプライマー(毛穴埋め)」の活用

これは意外と知られていない裏技的な選び方です。 タトゥーの表面が凸凹している場合や、広範囲を隠したい場合は、色の前に「質感」を整える透明な下地を使います。

  • 選び方: 毛穴の凹凸をフラットにする**「ポアプライマー(部分用化粧下地)」**や、シリコン系のベースを選んでください。
  • 効果: 肌の表面がサラサラかつフラットになるため、その後のコンシーラーがムラなく伸び、厚塗りを防げます。また、皮脂を吸着してくれるので、長時間崩れにくくなるというメリットもあります。
  • おすすめアイテム:
    • m.m.m(ムー) スキンスムーザー: 「塗るあぶらとり紙」として有名ですが、タトゥーの凹凸埋めにも最適です。
    • メイベリン ポアプライマー: プチプラで手に入りやすく、肌を滑らかにしてくれます。

プロ直伝!下地を最大限に活かす「仕込み」手順

良い下地を選んでも、塗り方を間違えると効果は半減します。 「絶対に混ぜない」ことが成功への鍵です。

ステップ1:プライマーで「整地」する

まず、ポアプライマー(透明下地)を米粒大ほど取り、タトゥー全体に薄く伸ばします。 くるくると円を描くように塗り込み、凹凸を埋めて肌表面をサラサラにします。 ※この工程は省略可能ですが、やると仕上がりが格段に綺麗になります。

ステップ2:オレンジで「色消し」

オレンジ色のコンシーラー(または赤リップ)を、タトゥーの黒い部分にだけ乗せます。 **「はみ出さないように」**塗るのがコツです。 指でトントンと叩き込み、タトゥーの黒色が「赤黒い色」に変わるまでしっかり発色させます。 ここで一度、ベビーパウダーを軽くはたいて、オレンジ色を固定(フィックス)させます。これが重要です! パウダーを挟むことで、次の肌色が混ざるのを防げます。

ステップ3:肌色で「蓋」をする

最後に、自分の肌色のファンデーションやコンシーラーを重ねます。 下地のオレンジを引きずらないように、**「垂直にスタンプするように」**乗せていきます。 すると不思議なことに、下からグレー色が透けてくることなく、綺麗な肌色に発色します。

よくある質問(Q&A)

Q. 赤リップを下地に使うと、肌荒れしませんか?

A. 唇用のコスメは油分が多く、長時間肌に乗せると毛穴詰まりやニキビの原因になることがあります。 緊急用や短時間なら問題ありませんが、毎日使う場合は、やはり**「肌用のコントロールカラー」「コンシーラー」**を使うことをおすすめします。もしリップを使う場合は、使用後のクレンジングを徹底してください。

Q. 下地を塗ったら、逆に厚塗り感が出ました。

A. 量が多すぎます。下地は「隠す」ためではなく「色を変える」ためのものです。 **「向こう側が透けて見えるくらい薄く」**塗るのが正解です。特にポアプライマーは厚く塗るとモロモロとしたカスが出てくるので、本当に少量で十分です。

Q. 100均のコンシーラーでも代用できますか?

A. 「下地(オレンジ色)」として使うなら、100均でも十分代用可能です。 ただし、メインの「肌色コンシーラー」だけは、カバー力と定着力が命なので、ある程度品質の良いもの(資生堂やザ・セムなど)を使うことをおすすめします。メリハリをつけたアイテム選びが、コスパ良く仕上げるコツです。

まとめ|「下地」こそが、バレない魔法の正体

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「タトゥー隠し=肌色を塗る」という常識を捨てて、「まず色を補正する」という下地の工程を取り入れるだけで、あなたのメイク技術はプロの領域に近づきます。

今まであんなに苦労していた「青黒い透け」が、オレンジ色を一層仕込むだけで嘘のように消える。 その感動を、ぜひ鏡の前で体験してください。

特別な高い道具はいりません。 まずは手持ちのオレンジチークや、ドラッグストアのテスターで試してみることから始めてみませんか? そのひと手間が、あなたの一日を自信に満ちたものに変えてくれるはずです。

あなたへのおすすめ